bookmemo2017’s blog

読んだ本の記録

★-あとは野となれ大和撫子(宮内 悠介 )

★おすすめの本です。

 

中央アジアのアラルスタン。ソビエト時代の末期に建てられた沙漠の小国だ。この国では、初代大統領が側室を囲っていた後宮(ハレム)を将来有望な女性たちの高等教育の場に変え、様々な理由で居場所を無くした少女たちが、政治家や外交官を目指して日夜勉学に励んでいた。日本人少女ナツキは両親を紛争で失い、ここに身を寄せる者の一人。後宮の若い衆のリーダーであるアイシャ、姉と慕う面倒見の良いジャミラとともに気楽な日々を送っていたが、現大統領が暗殺され、事態は一変する。国の危機にもかかわらず中枢を担っていた男たちは逃亡し、残されたのは後宮の少女のみ。彼女たちはこの国を――自分たちの居場所を守るため、自ら臨時政府を立ち上げ、「国家をやってみる」べく奮闘するが……!?内紛、外交、宗教対立、テロに陰謀、環境破壊と問題は山積み。それでも、つらい今日を笑い飛ばして、明日へ進み続ける彼女たちが最後に?み取るものとは――?

 

 

「やることはやった。あとは野となれよ」

 

 

勇気の前には、運命さえ頭を下げる

 

 

照準越しの二人の姿が、スローモーションのように見える。集中が高まっている証拠だ。ナツキは、もう自分の娘のようなものだ。万一にも可愛い娘に危害を及ぼすようならば、この場で、いま、独断で葬り去ってやる。

 

 

「愛されて育った人間が技術に志したとき、人間を信じすぎ、そして破壊をもたらす。テロルが悪霊であるように、愛もまた悪霊なのさ」「やる人間は、とどのつまりは孤独のなかにある。愛されている人間は、やらない。どうだい、馬鹿みたいだろう?愛という悪霊は、世界の破滅の種を蒔いておきながら、それと同時に阻止するという始末でね。ま、要はリア充たれさ」

 

習慣は狂気より悪いとはよく言ったものだ。

 

女性たちの清々しさは読んでて気持ちよかったです。