★-頭の決まりの壊し方(小池龍之介)
★おすすめの本です。
本書は19の頭の決まりを例題にして、その壊し方を具体的に丁寧に解説する、いわば優しい説法です。読後には頭が柔らかくなっている自分に気づくことでしょう。
「上からだ」などという理由で秀でている人の発信するものを拒絶してしまうと、自身の成長や更新のきっかけを奪ってしまいかねませんから、往々にして損をしているのではないでしょうか。
そうした実在しないものをあたかも実在するかのように思いこみ、心をそうした幻術の中にさまよわせる癖がつけばつくほど、「今」のリアリティを見失い、心の欠落感が大きくなってしまいます。世間の人々は、そうやって未来や過去という、ありもしない「時間」という幻の中を泳ぐのが好きなせいで、「今」が充実せず欠落感を生み出しています。
よくよく考えてみると、「今」の充足感の中には、どこにも欠落感など見出せないのですから、誰もが「今」を自分から見失って欠落感を自作し、それを埋めようとして埋まらない、と、自演をしているようなものでないのでしょうか。
だから、「今」に専念していると、「より良くなる」ということはあり得ません。「より悪くなる」ということも、あり得ません。ただ単に、「今、ある」ということの、何も欠落していない完全無欠さがあるだけであって、そこに「より良い」とか「より悪い」とかいった、比較対象は何一つ、なくなってしまうのです。
今こそ全て
火定-かじょう-( 澤田瞳子)
病の蔓延を食い止めようとする医師たちと、偽りの神を祀り上げて混乱に乗じる者たち――。疫病の流行、政治・医療不信、偽神による詐欺……絶望的な状況で露わになる人間の「業」を圧倒的筆力で描き切った歴史長編。
「己のために行ったことはみな、己の命とともに消え失せる。じゃが、他人のためになしたことは、たとえ自らが死んでもその者とともにこの世に留まり、わしの生きた証となってくれよう。つまり、ひと時の夢にも似た我が身を思えばこそ、わしは他者のために生きねばならぬ」
月の満ち欠けが一度として逆に進まぬように、自分たちもまたひたすら前を向いて進むしかないのだ。
人の弱さを丁寧に描かれていました。
★-銀河鉄道の父(門井慶喜)
★おすすめの本です。
宮沢賢治は祖父の代から続く富裕な質屋に生まれた。家を継ぐべき長男だったが、賢治は学問の道を進み、理想を求め、創作に情熱を注いだ。勤勉、優秀な商人であり、地元の熱心な篤志家でもあった父・政次郎は、この息子にどう接するべきか、苦悩した―。生涯夢を追い続けた賢治と、父でありすぎた父政次郎との対立と慈愛の月日。
「お前は、父でありすぎる」それが赤痢よりも遥かに深刻な病であるかのような、憂いにみちた口調だった。
議論に勝つのは弁の立つ人間ではない。話を聞かない人間なのである。
子供のやることは、叱るより、不問に付すほうが心の燃料が要る。
成長とは、打たれると知りつつ出る杭になることなのかもしれない。
どんな人間の営みも、忍耐や執着なくして成功はあり得ない。
父親あるある本。感動します。
BUTTER (柚木麻子)
結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子。世間を騒がせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿と、女性としての自信に満ち溢れた言動だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、親友の伶子からのアドバイスでカジマナとの面会を取り付ける。だが、取材を重ねるうち、欲望と快楽に忠実な彼女の言動に、翻弄されるようになっていく―。読み進むほどに濃厚な、圧倒的長編小説。
どんな女だって自分を許していいし、大切にされることを要求して構わないはずなのに、たったそれだけのことが、本当に難しい世の中だ。
易きを求め、困難を求めない
筆力がすごくてバター食べたくなります。
★-LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略(リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット )
★おすすめの本です。
誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くか。働き方、学び方、結婚、子育て、人生のすべてが変わる。目前に迫る長寿社会を楽しむバイブル。世界で活躍するビジネス思想家が示す、新しい人生のビジョン。みんなが足並みをそろえて教育、勤労、引退という3つのステージを生きた時代は終わった。では、どのように生き方、働き方を変えていくべきか。その一つの答えが本書にある。100歳時代の戦略的人生設計書。
MITのエリック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーはこう指摘した。「コンピューターやその他のデジタル技術の進歩が人間の知的能力に及ぼす影響は・・・蒸気機関とそれに続く発明の数々が人間の筋力に及ぼした影響と同じだ」
もっと柔軟性をもって、将来に方向転換と再投資をおこなう覚悟をもっておくことだ。アメリカの小説家ポール・オースターはこう述べている。「あらゆる事態に備えていないということは、まったく備えがないのと同じだ」
お金が重要でないわけではない。無形の資産をお金で買うことはできないにしても、無形の資産に投資するためには、お金があり、経済的安定を実感している必要がある。健康維持のためにスポーツジムに入会したり、家族で休暇を楽しんだり、愛する人たちと余暇を過ごすゆとりを感じたりするには、お金をもっているほうがいい。また、お金が無形の資産を支えるだけでなく、無形の資産が金銭的資産づくりを支える面もある。この相互関係は非常に重要だ。100年ライフに備えるためには、二種類の資産のバランスを取ることが欠かせない。
科学会の考え方は変わりつつある。筋肉を鍛えるように、脳を繰り返し使用して訓練を積めば、機能を高めたり、ダメージからの回復を後押ししたりできるというのだ。逆に、使わなければ、脳は次第に衰えていく。
マルチステージの人生を生きるためには、これまで若者の特徴とされていた性質を生涯通して保ち続けなくてはならない。その要素とは、若さと柔軟性、遊びと即興、未知の活動に前向きな姿勢である。
社会学者のアンソニー・ギデンズはこう述べている。自分の人生を自分で決めれば、リスクは避けられない。多様な選択肢に向き合わなくてはならないからだ。このとき個人に求められるのは、必要ならば過去とほぼ決別し、既存の行動パターンが指針にならない新しい行動を検討する覚悟をもつことである。
見て見ぬふりしていた未来をみました。
★-ガーデン(千早 茜)
★おすすめの本です。
植物になら、惜しみなく与えられるのに。花と緑を偏愛し、生身の女性と深い関係を築けない、帰国子女の編集者。異端者は幸せになれるのか。幸せにできるのか。著者会心の感動作。男は必ず間違える。知っている女の声が頭で響く。誰が言っていたんだっけ。思いだせない。思いだせないけれど、頭の片隅で思う。女は花なのかもしれない。愛でられたいという本能だけで咲く花。これは謎かけなのだろうか。僕は答えをださなくてはいけないのだろうか。(本文より)
生活スタイル、性格、考え方、仕事への姿勢。何がどう変わったら、人は周囲から変わったとみなされるのかはわからないが、ほんとうの変化というものは後で気付くもののような気がする。転機でも、分岐点でも、節目でも、ターニングポイントでも、同じことだ。そして、そのポイントとは、くるりと変質した瞬間というよりは、変わるのを止めた場所なのではないかと僕は思う。変わり続けることが常の生の中で、標本箱にピンで留められた昆虫のように、ぴたりと自分のかたちが定まり、時間を止めた瞬間のことをいうのではないだろうか。つまりは定点。
「だって、女がどうしてそんなことを言うかわからないでしょう」わからなかった。あの時も今もわからない。「欲しいのは気のきいた返事でも、優しい嘘でも、不確かな約束でもないの。その瞬間の自分をわかってもらいたいだけよ。共感なの。でも、他人が他人をまるごとわかってあげることなんてできないじゃない、性別が違うんだったらなおさらよ。だから、そんなの他人に求めることじゃない。」
主人公クールです。
時間を使う人、時間に使われる人(夏川 賀央 )
「忙しくて時間がない……」「もっと1日に時間があればいいのに……」「本当にやりたいことがやれない……」そんな悩みを解決する、時間管理術を凝縮!・トヨタ流の知的生産術で、仕事のムダを省く・自分の仕事を「地図化」してみる・ナポレオン3時間睡眠の伝説・「緊急でないこと」にある可能性を見落とさない・「TO DOボード」で時間量をはかる・話は3分より「3行」でまとめなさい・一流の人間が実践している「断る技術」 ……etc世界で偉業を成し遂げた10人の成功者から、時間に追われない人生を手に入れるためのノウハウを学ぶ!
マッキンゼー出身のコンサルタント、伊賀泰代さんの「生産性」という本では「最初にアウトプットとイメージをもっておく」と紹介されていますが、つまりはレポートの出来上がりの枠組をある程度、決めておくということです。
まず一枚の紙に、「明日しなければいけないこと」を6つメモします。そして重要なものから順に123456と番号を振ります。さて翌日、このメモをもって仕事に臨みます。まず当然、1の仕事をする。それから2の仕事。まだ時間があれば、3の仕事…そこで時間切れ。では、「明日は4から」と思ったら間違いです。明日に備えて、また6つの「しなければならないこと」をメモするわけです。
聞くのは話すより3倍以上のエネルギーを必要とし、注意して聞いていられるのは24秒にも満たないといっている方もいます。
「ミスを犯してくれて大変嬉しい。あまりに慎重でほとんど何もしないのではなく、迅速に動き、たくさんのことをする会社を私は経営したい」
話すより聞くのが好きなので疲れるのですね。