bookmemo2017’s blog

読んだ本の記録

★-ガーデン(千早 茜)

★おすすめの本です。

 

 

植物になら、惜しみなく与えられるのに。花と緑を偏愛し、生身の女性と深い関係を築けない、帰国子女の編集者。異端者は幸せになれるのか。幸せにできるのか。著者会心の感動作。男は必ず間違える。知っている女の声が頭で響く。誰が言っていたんだっけ。思いだせない。思いだせないけれど、頭の片隅で思う。女は花なのかもしれない。愛でられたいという本能だけで咲く花。これは謎かけなのだろうか。僕は答えをださなくてはいけないのだろうか。(本文より)

 

 

生活スタイル、性格、考え方、仕事への姿勢。何がどう変わったら、人は周囲から変わったとみなされるのかはわからないが、ほんとうの変化というものは後で気付くもののような気がする。転機でも、分岐点でも、節目でも、ターニングポイントでも、同じことだ。そして、そのポイントとは、くるりと変質した瞬間というよりは、変わるのを止めた場所なのではないかと僕は思う。変わり続けることが常の生の中で、標本箱にピンで留められた昆虫のように、ぴたりと自分のかたちが定まり、時間を止めた瞬間のことをいうのではないだろうか。つまりは定点。

 

 

「だって、女がどうしてそんなことを言うかわからないでしょう」わからなかった。あの時も今もわからない。「欲しいのは気のきいた返事でも、優しい嘘でも、不確かな約束でもないの。その瞬間の自分をわかってもらいたいだけよ。共感なの。でも、他人が他人をまるごとわかってあげることなんてできないじゃない、性別が違うんだったらなおさらよ。だから、そんなの他人に求めることじゃない。」

 

 

主人公クールです。