人生を動かす仕事の楽しみ方~才能よりも大切な「気づく力」~(新津 春子)
当たり前だけれど、忘れがちな「働くこと」「生きること」の意味
中国残留孤児の二世として、日本語も話せないまま日本にきた著者。
「パンの耳をかじる生活」だったと語る生活から抜け出すため、
若かりし頃の著者が選んだ道は「清掃」という仕事だった。
はじめこそ、愛想なく黙々と清掃を続けていた著者だが、
信頼できる上司との出会いで、「あること」に気づかされる。
そこから、著者の人生は大きく動き出すことに。
「清掃は私の人生そのもの」
そう力強く何度も語る著者の、その笑顔の秘密が明かされる一冊!
私はそれまでの27年間、誰にも助けてもらわずに自分の力だけで生きてきました。
これから先もずっと自分一人の力で生きていける。仕事を頑張ればお給料はもらえるし、お給料があれば食べたいものも買えるし、行きたいところにだって行ける。
私にはそれで十分。
その反面、自分は死ぬまでずっとこのままなのかなと漠然とした不安を抱いていました。
いまのように「毎日を楽しく過ごそう」という気持ちに欠けていたのです。
まだ20代でしたから、自分の生き方が正しいのか、それとも間違っているのか、そこまで考える余裕がありませんでした。
ところが、お客様を観察するようになって、そんな私に変化がおきました。他人に興味を持ち、自分以外の人から学ぶという意識が芽生えたのです。
それは「一人の力で生きてきたつもり」の私には大きな変化でした。
工夫には以外な副産物があって、工夫をしてうまくいくとそれだけでうれしくなって、いつのまにか工夫することが楽しくなってくるんです。そうすると、結果として、仕事自体も楽しく、そして楽になります。
うまくいかなくても、自分の頭で考えて行動すれば、失敗もしながら、最後は自分自身の力でできるようになることでしょう。
そうなることが、将来の自分を困らせないことになるのです。
ただ目の前のことを言われたとおりにやっていても、仕事は楽しくならないと思います。仕事でも私生活でも「見たことないものをもっと見てやろう」という気持ちが大事。ずっと同じものばかり見続けているのはつまらないのです。
いま目標がないのなら目の前のことを一生懸命やってみてください。少し時間はかかるかもしれませんが、きっとあたなの中で変化が起きます。もしかしたら「自分は将来、これをやっていきたい」ということに出会えるかもしれません。27歳の私が「全国ビルクリーニング技能競技会」を境に大きく変わっていったようにです。
私の中で納得できないことがあると「わかった。会社で私のことを評価してくれないんだったら、外でがんばってみる」と思うようになりました。社外の誰かが評価すれば、それがめぐりめぐって会社に伝わります。たとえば業界団体主催のコンテストで入賞する、専門の資格を取る、など。何らかの行動を起こさない限り、いまの評価が簡単に変わることはありません。
お金や自分のためでなく人のために働いてみる。